このタイトル, いかにも堅苦しいですね。
しかも, 漢字の最後の二文字は当用漢字にありません。
皆さん, 読めますでしょうか。
「こうふくじかんむちょうそ」と読みます。
拙者がこの単語を初めて目にしたのは,当Website のDiary / No.505 でご紹介した通り,重文の薬師
如来坐像を拝観するため草津市・木川町の薬師堂を訪れた時です。
薬師堂の由緒と当仏像の由来が記されたパンフレットに, 「興福寺官務牒疎」云々の記事があったのです。
その後,この「官務牒疎」がいかなる文書か調べている内に驚くべき事実を知ったのです。
なんと, この古文書が最近の歴史研究によりほぼ偽文書であると考証されていたのです。
江戸時代の古文書収集家・椿井政隆(権之輔) により創作された寺社に関する偽文書・椿井文書(もんじょ)
の一つだったのです。
拙者,興味がありその後深く調べてみました。
「官務牒疎」について,詳しくは下記のPicture をご覧下さい。
 Picture / Pilgrimage to old temples / 「椿井文書 興福寺官務牒疎」
この「興福寺官務牒疎」は,奈良・興福寺に伝来の古文書では無いことが判明しています。
この文書が中世のものである[作成年代；嘉吉元年(1441年) ]と偽装するために古代の有力寺院・興福寺
の官務家などに伝わる資料を模写したと称したのです。
膨大な量の椿井文書は,中世の文書という触れ込みで彼が活躍した山城,大和,河内,近江の広範囲の地域
に流布し,真正な文書として扱われ現在に至っています。
この古文書が罪深いのは, これらの地域の地誌や寺社の由緒を語る上で重要な史料的地位を占めている
ことなのです。
ちなみにWebsite で該当寺院を検索してみると, 知ってか知らずか寺院の由緒・歴史の箇所に「興福寺
官務牒疎によると」或いは「興福寺官務牒疎曰く」云々の記事をたしかに目にします。
地域にしろ寺社にしろ, 過去の栄華・繁栄の歴史を宣伝し,その商業的価値を高めたいものでしょう。
しかしながら, 偽古文書を引用すること自体,事実を知らない第三者に対する背信行為なのです。
一部の地域では,公文書である地誌や市史の見直しが行われていると聞く。
当然のことでしょう。
偽古文書は,正当な歴史を知る上で排除されなければならない存在です。
もし引用したいのであれば,その旨を明記して欲しいものですね。
とにかく, 歴史のミステリ－を探検するのはミステリ－小説を読むよりエキサイティングでほんとに面白い
ですよ。
たそがれマックちゃんの介護生活の合間を見計らって, 気晴らしに世界らん展を見物してきました。
今日から女房は娘の住むタイ・バンコックへ向け姉妹他5 人でタイ旅行に出かけ,拙者は老犬・マック
ちゃんの介護とお留守番です。
例のボ－イング787 のリチウムイオン・バッテリ－の不具合問題で,この機種の就航が中断されたこと
により機材が間に合わず, 午前の成田発が午後に変更になり,さほど早く自宅を出なくてもよくなりました。
そんなことで,女房を送りがてら三田まで同行, 拙者は都営地下鉄三田線で世界らん展会場のある東京
ド－ムの最寄り駅の水道橋へ。
この「世界らん展」は,1991 年の初回開催以来今年で23 回目です。
毎年この時期に東京ド－ムで開催され,拙者は3 回目の見物となりました。
会場で公式ガイドブックを貰いド－ム内へ。
そこは,色彩に満ちた花の楽園です。
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会場入口の大きな花時計が我々を出迎えてくれます。
各コ－ナ－には世界中の蘭(オ－キッド)の園芸家や蘭の園芸会社或いは国内の農業高校からの作品が
展示されています。
らん(蘭)のことはよく分かりませんが, 洋蘭,東洋蘭,日本の蘭などあらゆる“蘭”が展示され,それらは多彩
な色彩と表情を持っています。
思わずカメラのシャッタ－を切らずにはおれません。
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花のトップア－ティストによるデモンストレ－ションもありました。
ラン展ではお馴染みの華道家・假屋崎省吾の作品は,蘭をモチ－フに,彼がデザインした
着物と様々な蘭をコラボレ－ションし,王朝絵巻のような雅な世界でした。
さて,今年の栄えある「日本大賞」はどんな蘭かしら?
場内中央付近に表彰を受けた蘭が展示されています。
これが今年の「日本大賞2013」の作品です。
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その他,優秀賞,優良賞,トロフィ－賞など多数の受賞作品も。
素人の拙者からすると,どれが大賞であってもおかしくありません。
どの作品も実に素晴らしいかったです。
あまり繁雑にシャツタ－を押したものですから電池切れになりました。
いつの間にか1 時間半が過ぎています。
主催者発表によると,世界20 ケ国・地域の約3000 種10 万株が会場を彩っているとのことです。
正直言って,こんなに沢山の蘭があると見飽きますね。
と云うことで,この辺で退散することにしました。
色鮮やかな花を愛で, 久し振りに都会の空気にも触れ,気晴らしの一日でした。
もっと素晴らしい様々のラン(蘭) が,以下のPicture に満載です。
ご覧下さい。
Picture / Others / 「世界らん展日本大賞2013 」
English Weekly Topics / No.185－Feb.28,2013 /
“Japan Grand Prix International Orchid Festival 2013”
観音寺拝観後バスでJR三山木駅に着いた頃には, すっかり雨も上がっていました。
予約しておいた寿宝寺の拝観までには, まだ 1時間半ほどあります。
昼食と休憩をかねて, 駅の近くの喫茶店に入り時間調整です。
寿宝寺は駅から歩いて5分程のところにありました。
このお寺, どこにでもあるような小さなお寺さんと言ったらよいでしょうか。
山門です。 おめでたい山号ですね! 開運山とは。
山本驛旧跡 |
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お寺の外側, ちょうど山門の右手に目立った石碑がありました。
「和銅四年設定 山本驛旧跡」とありました。
この地は大和から河内, 山陰, 北陸に通じる要衝地であったため, 当時の
大宝律令により設置された山背国綴喜郡山本驛が置かれたと伝えられる。
(➩続日本紀)
平城京と地方を往来する人々に人馬や食料を提供していたという。
山門をくぐった狭い境内には, 正面に本堂, その左手に庫裏, その前に収蔵庫
があります。
本 堂 |
収蔵庫 |
庫裏のドアホ－ンから拙者の訪問を告げました。
住職さんの息子さんでしょうか, 若い坊さんが収蔵庫に案内して下さいました。
勿論, 拝観者は拙者のみでしたので, ここでもマンツ-マンの対応です。
収蔵庫には, 中央にあの十一面千手千眼観音菩薩立が2躰の脇侍・明王像を従えて安置されて
いました。
拝観料を尋ねたら 300円でしたので, 先ずは賽銭箱に収めました。
仏像を前にしてお寺の由緒と十一面千手観音像 等についての 極めて事務的な説明を受けました。
詳細は, 下記の Picture をご覧下さい。
Picture / Pilgrimage to old temples / 開運山 寿宝寺
せっかくですので, 仏像(重文)の写真撮影をお願いしましたが断られました。
なんでやね～ん という思いでした。
やむを得ませんねぇ。
パンフレット一つ用意されていません。
午前中に拝観した観音寺では, 国宝の仏像ですが条件付き(1回限り)で許可いただいたのに!!
と言うことで, ここでは観音寺で買った小冊子「南山城の古寺」(発行; 株式会社飛鳥園)からの写真を
転載しておきます。
十一面千手千眼観音菩薩立像(重文) |
カヤ(榧)の木の一木造りだそうで, 彩色はありません。
この観音さん, 明るい所で見るとちょっと表情は厳しいですが, 日が落ちて月明かりで見ると(若い坊さんが
堂内を暗くしてくださいました), 確かにとても柔らかみのある表情に変わります。
光の加減で女性が美人に見えたり見えなかったりするのと同じなんでしょう。
すばらしい観音さんでした。
30分程の短い拝観でしたが今日の目的は完了。
近鉄・三山木駅から京都へ向かいました。
前夜, 弟の快気祝いの懇親会の後は, 勧めもあり奈良の末弟宅に宿泊。
酔いもあって朝9 時までぐっすり寝させてもらいました。
何と今日は,朝からべた雪が散らつく寒～い日です。
草津への帰りの途中,沿線のお寺の観音さんを訪れる予定になっています。
そのお寺の一つ,寿宝寺さんには前日に参拝の予約を取り,午後1～2 時に訪問が決まっています。
住職さんから午前中は法事があるため,この時間を指定されていました。
そんなことで, こんな天候ですが拝観に立ち寄ることにしました。
弟に近鉄・学園前駅まで送ってもらい,西大寺経由で三山木駅へ向かいました。
近鉄京都線で20 分もすると三山木駅に着きました。
同志社大学田辺キャンパスがあるからでしょうか,駅には学生さんの姿がちらほら。
最初の拝観地は,大御堂こと観音寺です。
奈良交通バスで観音寺前までバスの予定でしたが,本数が少なく約50 分待ちです。
小雪がちらついていたこともあり,やむなくタクシ－に乗り込みました。
ごく普通の見慣れた田園の中に桜並木とおぼしき参道があり,あえてその前で降ろしてもらいました。
雨に濡れた参道の向うに寺の本堂らしき瓦屋根の建物が見えます。
画像をクリックすると大画面でご覧になれます
観音寺の遠景 |
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観音寺への参道 |
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冬枯れのこの時期,さすがに周りは殺風景な田園の風景です。
しかし,春のシ－ズンになると,参道の桜とそれを取り囲む菜の花が満開になり華やかになるようです。
境内は山門も無く煙りに雲った山と庭園に囲まれ,訪れる人も無くひっそりとしていました。
本堂手前,左手の庫裏のドアホ－ンを押し拝観をお願いすると,「本堂前でお待ち下さい。」との応答。
住職さんが出てこられて本堂へ案内されました。
観音寺・本堂 |
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本堂でお焼香を勧められた後,住職さんが般若心経を唱えて下さいました。
拙者には,意味が全～然～,わかりません。
そして,厨子が開かれて本尊の十一面観音さんと対面です。
まず住職からお寺の略縁起を拝聴。
概略は以下の通りでした。
観音寺は,現在は真言宗智山派の寺院,総本山は京都の智積院。
飛鳥時代,天武天皇の勅願で法相宗の僧義淵が開基, 次いで聖武天皇の御願により天平16
(744)年,良弁(ろうべん) が伽藍を増築し,普賢教法寺(ふげんきょうほうじ) とよばれいたそうです。
現在でもこの付近一帯の住所が普賢寺となっているのは,その名残でしょう とのこと。
中世には, お寺は火災や兵火でたびたび焼失,再建を繰り返すが,現在は大御堂と呼ばれる本堂のみが
残っている。
続いて,本尊の十一面観音菩薩(国宝) についてです。
厨子の目前で拝見させていただきました。
ありがたいことです。
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この本尊は,もと普賢教法寺の旧仏で,天平16 年(744年),良弁によって安置されたとのことです。
等身大(173 cm) で一木式乾漆造(いちぼくしきかんしつつくり),漆箔仕上げ(下地の上に漆を塗り金箔で
表面を加工) です。
すなわち, 木彫りで原型を造り木屎漆(こくそうるし) などを厚く塗り盛り上げて形作る技法です。
とても柔らかみのある優雅な表情で均整のとれた肢体ですね。
くびれとふっくらとした腹部は,天平美女そのものです。
いゃあ,惚れ惚れします。 すばらしいですね。
境内には,鐘楼があり,その前に「二月堂竹送り復活の地」という石碑がありました。
東大寺・二月堂で行われる「お水取り」に使われる竹は,ここから送られているのだそうです。
鐘 楼↑
「二月堂竹送り復活の地」の石碑→ |
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本堂脇には小さな社の「地祇(ちぎ) 神社」があります。
観音寺の鎮守とされ,大国主命(おおくにぬしのみこと) など3 柱を祀る式内社とのこと。
<注>式内社；延喜式神名帳に記載された神社のことで一種の社格になっている。
約30 分程の拝観を終えて次の拝観地,寿宝寺へ向かうため,奈良交通バスでJR 三山木駅へ引き返し
ました。
尚,「息長山 観音寺」について詳しくは,下記のPicture をご覧下さい。
Picture / Pilgrimage to old temples / 「息長山 観音寺」
[参考資料]パンフレット；「略縁起」京都府京田辺市 普賢寺 大御堂 観音寺
つづく Diary / No.516－2013.02.15 /
「観音さん巡り(その2) 寿宝寺・十一面千手千眼観音菩薩立像」
フォト；2013 年2 月15 日
弟から快気祝いのお招きがあり,ホ－ムタウンの宇治で兄弟3 人が久し振りに集って懇親会でした。
末弟の2 回目の定年退職のご苦労さん会も兼ねてです。
弟達は, 奥さんも同伴です。
名目は懇親会ですが, 兄弟3 人にとっては飲み会でした。
場所は久御山にある馴染みの日本料理の
「心月」です。
季節の新鮮な素材を使った美味しい料理を出して
くれるので我々のひいきのお店です。
昨年10 月に入院し腰部脊柱管狭窄の手術と約1 ケ月の
院内リハビリで原状回復し退院。
退院後も歩行訓練やジムなどでの家庭内リハビリを繰り返し,今では,歩行に支障が無いようです。
手術前には,脳神経外科医の主治医によるMRI 検査画像による病状と手術の危険性についての説明が
あり,小生も同席した事を覚えています。
お酒を飲みながら,本人から手術前の深刻な精神状態などの話を聞きましたが今は昔です。
しかし,人ごとではありません。
拙者も腰痛の予備軍の一人で,季節の移り変わり時やふとしたシヨックで突発的に症状が出てくるからです。
まぁ, 加齢により出てくるのですから已むを得ないですね。
お酒がすすむうちに原発問題やら北朝鮮の核実験問題などの政治談議になりました。
皆さん, それぞれに思うところがあり意見をぶつけあいました。
色々な意見があるもんですね。
そぅこうしている内に3 時間が過ぎ,お開きになりました。
次回は6 月のファミリ－会です。
楽しみにしています。
腰痛の手術をした弟の快気祝いを兼ねて, 来週の14 日にホ－ムタウンの京都・宇治で兄弟3 人が集って
懇親会(=飲み会)を予定しています。
懇親会後は,お誘いもあって奈良の学園前の末弟宅で宿泊です。
帰りは奈良から京都経由草津への行程ですが,せっかくの機会ですので,帰り路に南山城のお寺を巡る
ことを計画しました。
以前,Diary / No.505 に於いて,歴史学会で話題になっている偽文書・椿井文書(つばいもんじょ)の
一つ,興福寺官務牒疎のことを少し触れたことがあります。
この古文書で異様に記述分量が多いお寺が普賢寺(現在の観音寺)です。
偶然にも,この観音寺が,JR 奈良線(& 近鉄・京都線) 沿線(奈良・京都間)の京田辺市にあることを思い
出し拝観することにしています。
観音寺には国宝に指定されている本尊・十一面観音立像があります。
調べてみると,このお寺を含め,南山城,奈良,河内界隈には古寺・古仏が多くあります。
特に,七つの国宝・十一面観音像の内五つがこの地域にあるのです。
＜参考＞国宝・十一面観音
・向源寺(滋賀県高月町) ・六波羅密寺(京都市)
・観音寺(京都府京田辺市) ・法華寺(奈良市)
・聖林寺(奈良県桜井市) ・室生寺(奈良県宇陀市)
・道明寺(大阪府藤井寺市)
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今迄に拝観したのは,滋賀県高月町にある向源寺の国宝・十一面観音立像だけです。
と言うことで,この際,観音寺を皮切りに特に十一面観音に絞って,おいおい観音像の巡礼をしょうと考えて
います。
又,同時に偽文書と関連するお寺があれば,事実関係やらそのインパクトについても触れたいと思って
います。
観音像は拙者の心を魅了させてくれる仏像の一つです。
慈悲深く,拙者に無い気品があるからでしょうか。
仏像の姿,形は,それぞれに意味があり,さまざまな約束事に基づいて造られていると云う。
観音巡りをするにあたり,この仏像について今一度,その基本的知識についておさらいをしましたのでご紹介
しましょう。
Picture / Pilgrimage to old temples /
「仏像・菩薩像・観音菩薩像・十一面観音菩薩像」
皆さんも観光のついでに寺社を訪ねられることもありましょう。
歴史とのふれあいのためのご参考になればと思っています。
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