寿宝寺の概要は以下のようなものです。
開運山寿宝寺
・山号； 開運山
・宗派； 高野山真言宗 金剛峯寺派
・本尊； 十一面千手千眼観音立像
・創建年；(伝)慶運元年(704年)
・開基; 不明
・文化財;
十一面千手千眼観音菩薩立像(重文)
聖徳太子像
降三世明王立像、金剛夜叉明王立像
etc.
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寺伝によると,慶運元(704)年,天武天皇の
時代に創建されたと伝えられる。
古くは「山本の大寺」と称せられ,七堂伽藍の
備わった大きな寺であったが,度重なる木津
川の氾濫により,享保17年(1,732年),現在
の小高い地に移転。
明治初めの廃仏毀釈に際し近隣の寺々を合併し,
それぞれのお寺から現在の本尊である千手観音
(重文)や降三世明王,金剛夜叉明王等が本堂に移された。
平成9(1,997)年には,平成の大造営を行い,206年ぶりの改築となった。
<参考>① 京田辺道中記－寿宝寺－(京田辺市観光協会)
寺伝では,創建当初,七堂伽藍が備わっていたとのことです。
今では本堂, 庫裏と十一面千手千眼観音(重文)を安置する収蔵庫があるのみです。
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近鉄三山木駅から5分程歩くとお寺に着きました。
寿宝寺の山門です。
境内に入ると正面に本堂です。
寿宝寺 本堂 |
本堂の扁額 |
住職さんの息子さんと思しき若い坊さんの案内で千手千眼観音さんが祀られた収蔵庫へ。
寿宝寺 収蔵庫 |
境 内 |
収蔵庫に案内され, 若い坊さんからお寺の由緒についての説明を拝聴。
内容は, 下の寿宝寺の説明板の通りです。
続いて, 本尊の十一面千手千眼観音菩薩像(重文)についてです。
観音像の左右に脇侍として明王像を従えています。
この3躰の仏像は, この地から約1 Km南西にある式内社の佐牙神社の神宮寺に祀られて
いたもので神宮寺が明治初めに廃寺になった際, 寿宝寺に移されたとのことです。
十一面千手千眼観音菩薩立像(重文)
(「南山城の古寺」発行:株式会社飛鳥園から転載) |
像高180 cm, 一木造(いちぼくつくり)の素木仕上げで, 焚かれた護摩木により今は黒変
しています。
[注]素木(しろき)仕上げ ； 仏像は漆箔仕上げ又は彩色仕上げが基本ですが, 平安初期は
例外的に一木造り素木仕上げの時代であった。
平安時代後期に造られたものですが, 衣紋の彫りが浅く藤原時代の特色を示している。
頭上に十一面を頂き, 千の手と千の眼を持つ。
中央には6本の手があり, 2本は中央で合掌, 2本は中央下で定印して宝鉢をのせ, 残りの2本は
右手に錫杖(しゃくじょう), 左手に宝戟(ほうげき)を持っている。
左右20の大脇手の前に, 小脇手が扇状に配されている。
眼. 眉, ひげに墨, 口に朱が塗られている以外は素木仕上げです。
40手は, それぞれ鏡, 矢, 剣, 宝経などの持ち物を手にしている。
実際に千手あるのかと質問したら, 今は欠落していて千本無いとのことでした。
それぞれの掌には, 眼が一つ描かれているとのことでした。
千手観音さんは, 40本の手で千手をあらわすものがほとんどだそうですが, この十一面観音
像は, 実際に千手を持つ観音さんです。
大阪・河内の「葛井寺(ふじいでら)」と奈良の「唐招提寺」の観音さんと共に三大名作の一つだ
そうです。
脇侍として,向かって左手に降三世明王です。
五大明王の一つ。平安時代の作。 三面八臂の憤怒相につくられ, 左足で大自在天
(ヒンズ－教のシバ神)を, 右足でその妃を踏みつけている。
現世の迷いに打ち勝つことを示すものという。
同じく右手の脇侍の金剛夜叉明王です。
五大明王の一つ。平安時代の作。 三面八臂の憤怒相につくられ, 牙をむき出す。
過去、現在、未来の悪と欲をすべて呑み尽くし、取り除いてくれるという。
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和銅四年設定 山本驛旧跡 |
境内には, 山本驛旧跡の石碑がありました。
大宝律令によって全国が五畿七道に区分され, 主要道には
驛を設置し, 驛馬を置くことが定められた。
元明天皇が都を平城京に遷した翌年の和銅4年(711年)に
山背国綴喜郡山本驛(やまもとのうまや)が置かれた。
(➩続日本紀) ただ, 場所は特定されていない。
<注>「続日本紀」巻第五の元明天皇和銅四年(七一一)年の項に
下記の記述がある。
| 四年春正月丁未。《丙午朔二》始置都亭驛。山背國相樂郡岡田驛。綴喜郡山本驛。河内國交野郡楠葉驛。攝津國嶋上郡大原驛。嶋下郡殖村驛。伊賀國阿閇郡新家驛。 |
寿宝寺は, 付近に山本驛が置かれたため, 「山本の大寺」として信仰をあつめたと伝えられて
いる。
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