仏像の種類は, 大きく分けて如来像, 菩薩像, 明王像, 天部像と羅漢像の五つです。
その中で, 菩薩像をクロ－ズアップすると下記のようになります。
十一面観音菩薩像は, その中の観音菩薩像の範疇の一つです。
聖観音菩薩, 不空羂索観音菩薩, 如意輪観音菩薩, 千手(千眼)観音菩薩, 馬頭観音菩薩
又は准胝観音菩薩と共に六大観音と呼ばれます。
| 仏像 |
如来像 |
釈迦如来像 他 |
説法釈迦如来像 他 |
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弥勒菩薩像 |
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| 日光・月光菩薩像 |
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聖観音菩薩像 |
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| 千手(千眼)観音菩薩像 |
| 不空羂索観音菩薩像 |
| 如意輪観音菩薩像 |
| 馬頭観音菩薩像 |
| 准胝観音菩薩像 |
| その他(白衣/水月/多羅/楊柳)観音菩薩像他 |
| 文殊菩薩像 |
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| 普賢菩薩像 |
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| 勢至菩薩像 |
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| 地蔵菩薩像 |
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| 虚空蔵菩薩像 |
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| 明王像 |
不動明王像 他 |
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| 天部像 |
四天王像 他 |
多聞天像 他 |
| 羅漢像 |
十大弟子像 他 |
大迦葉 他 |
菩薩は, 菩提薩埵(ぼだいさった)を略した言葉で「さとりを求め修行する者」という意味です。
釈迦のさとりに達する以前の呼び名でした。
後に, さとりを求め, 如来に師事し, みずから修行し, また人々をもさとりに導こうとする偉大な
志をもつものを全て菩薩と呼ぶようになりました。
いわば, 如来は先生で, 菩薩は弟子, 生徒です。
標準的な菩薩(但し, 立像の場合)の
すがたは右の写真の通りです。
宝冠を戴き, 白毫(びゃくごう)をつけ、
天衣(てんね)(両肩から垂らした幅の
狭い布)や条帛(じょうはく)(左肩から
右脇へ斜めに掛け, その端を腹に垂らし
布)を掛け, 下半身に裙衣(くんい)を
巻く。
また胸や腕に飾りをつけ, 手に剣や蓮華、
水瓶(すいびょう)などを持つ。
立像は, 直立した像もあるが, 一方の足
に重心を置き, 他の足を少し前に出し
た像もある。
菩薩像には, 立像のほかに坐像もあり
ます。
坐像は, 左右どちらかの足を膝の上に
のせる半跏趺坐(はんかふざ)が多い
が, 如来と同じく結跏趺坐(けっかふざ)
した像もあります。
人々が救いを求めて観音を呼ぶ声を感ずると, 直ちにその人の前に現れて救いの手を差し
のべる。
また阿弥陀如来の極楽浄土で如来を補佐し極楽往生を願う者の臨終に際しては, 如来の
お供として両手に蓮台(れんだい)を捧げ迎えに来て下さる。
観音, 観世音(かんぜおん), 観自在菩薩(かんじざいぼさつ)とも呼ばれる。
観音菩薩は, 七難(火, 水, 鬼, 凶器, 悪人, 束縛, 強盗)から人々を救い, 三毒(淫欲, 怒り,
愚痴)を体から抜き, 二求(たくましい男子や美しい女子)を授けてくれる。
そのために, 時と場所に応じて33のすがたに身を変えて救いの手を差しのべて下さるので
ある。
この菩薩は, 多くの名とすがたにあらわされる。
これは, もと観音という利益と幸福を授ける菩薩がいた。
余りにもその霊験があらたかだったので, 人々はこの菩薩に身勝手な願い事をつぎつぎに並び
たてた。
それでも慈悲深い菩薩はどんな願いに対しても一つひとつその求めるところの名とすがたで,
かなえようとしました。
それが変化観音(へんげかんのん)なんです。
十一面観音菩薩は, その変化観音の一つです。
数多くのすがたに変化する観音像の中では最も早く造られた。
<すがた>
頭上の十一面のうち, 正面の三面は慈悲の菩薩(寂静)面で, 観音の本来の性格である慈悲
をあらわす。
左の三面は怒りの瞋怒面で, 悪事を働く者を叱りつけ正しい道を歩むよう導く。
右の三面は白牙を上に出す狗下上出面で, 良い行いをする者を褒めさらに精進することを
勧める。
背後の一面は, 暴悪大笑面で, 悪事を働く者をあざ笑いその悪事を本人にわからせ改心させ
ようとする。
頂上は如来面で阿弥陀如来である。
また, 頭のしょうめんにはこれも阿弥陀如来の化仏を戴く。
右手は下に垂らしその手に数珠をかけたりする。
左手は臂を曲げ, 蓮華や水瓶を持つ。
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| 向源寺 十一面観音立像 (正面) |
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向源寺 十一面観音立像 (背面) |
[参考文献]
薮中五百樹, 矢野健一郎共著 「歴史とのふれあい 仏像 鑑賞の手引」 平成18年 ㈱フジタ
(参考)十一面観音菩薩像
 (1)向源寺(長浜市高月町) 十一面観音立像(国宝)
(2)聖林寺(桜井市) 十一面観音菩薩立像(国宝)
(3)海住山寺(木津川市加茂町) 十一面観音菩薩立像(重文)
(4)道明寺(藤井寺市道明寺) 十一面観音菩薩立像(国宝)
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