今日は，天気予報通り春の陽気で暖かかったので，予定通り草津市南西部の琵琶湖に浮かぶ
矢橋帰帆島までサイクリングに出掛けてきました。
日曜日でもあったので，湖岸の緑地では家族連れで賑わっています。
又，湖岸や湖上の船外機では，静かに釣り糸を垂れる人がいるのどかな風景が広がっています。
画像をクリックすると大画面でご覧になれます
自宅から40分ほど走って，帰帆北橋の手前で休憩。
帰帆北橋の信号で左折してしばらく走ると，矢橋大橋が右手に見えます。
この橋を渡ると矢橋帰帆島です。
矢橋帰帆島側から眺めた矢橋大橋 |
矢橋帰帆島(やばしきはんとう)は，下水処理施設として造られ，現在は公園として整備されて
います。
その昔，ここには近江八景「矢橋の帰帆」として知られた矢橋の渡し(矢橋港)があった所です。
近江八景の一つ，「矢橋帰帆(やばしのきはん)」 (歌川 広重 画) |
江戸時代に東海道で京にのぼるとき，草津宿から最後の宿場・大津宿に行くには，瀬田の唐橋
を経由するよりも，この矢橋の渡しから船で大津・石場の渡しにいたるほうがショ－トカットとなり
旅人に重宝がられ，湖上交通の要所として賑わったそうです。
追分道標
東海道と中山道の
分岐点 |
|
矢倉道標
東海道と矢橋道の分岐点 |
|
当時，草津宿から矢橋の渡しへは，草津宿
(東海道と中山道の合流点)を基点として南西に1 Km 程
行った所で東海道から右に分岐して琵琶湖畔の矢橋の渡し
に至る25 丁(約2.7 Km )の矢橋道がありました。
(注)1丁は，約109 m
この分岐点にあった姥が餅屋(うばがもちや)の軒下に，
寛政10 年(1,798 年)に建てられた矢倉道標が残り，
「右やはせ道 これより廿五丁 大津へ船わ多し」と刻まれて
います。
姥が餅屋は引越し，今は「瓢泉堂」という瓢箪(ひょうたん)を商う店になっています。
画像をクリックすると大画面でご覧になれます
旧・東海道の草津川に架かる矢倉橋 |
|
|
旧東海道(矢倉2丁目付近)/草津宿方面を眺む |
|
|
矢倉道標のある
分岐点 |
|
室町時代の連歌師・柴屋軒 宗長(さいおくけん そうちょう)は，矢橋について
「 もののふ(武士)の 矢橋の船は 早くとも 急がば回れ 瀬田のながはし(長橋) 」
と詠んでいます。
矢橋～石場の湖上ル－トは，瀬田の唐橋経由の陸路のル－トに比べて2里ほど短縮できた
ようです。
しかし，船は湖上の天候に左右され危険が伴うことがあったわけです。
瀬田の唐橋(当時は，長橋と言われたようです)を渡り陸路で行く方が安全で着実だとの意。
ふだん，何気なく使っている「急がば回れ」の語源が，ここ矢橋が由来だったとは驚きでした。
江戸時代には，船の構造も改良されていて，湖上交通の危険性も少なくなつたのでしょうか。
「勢田へ回れば三里の回り，ござれ矢橋の 船に乗ろ」と歌われたように，矢橋は対岸の石場
との間の渡し船発着地として栄えたようです。
京へ行き交う旅人達は，当時の俗謡として唄われた
「瀬田に廻ろか 矢橋へ下ろか ここが思案のうばがもち」のように，姥が餅屋の茶店であんころ
餅とお茶で一服しながら，リスクも勘案してどちらのル－トを取ろうか思案したのでしょう。
東海道五十三次・草津宿⇒大津宿への2 ル－ト
①草津宿⇒旧東海道⇒大津宿
②草津宿⇒旧東海道⇒矢橋道⇒矢橋の渡し－－－－－→石場の渡し⇒大津宿 |
島内には，メタセコイヤの並木道がありました。
ポプラ並木とまちがえそうです。
矢橋帰帆島内にあるメタセコイヤの並木道 |
そして，3.5 Km 程ある帰帆島の外周を一周しました。
その時に撮った風景写真をいくつかサムネイル写真で紹介します。
ここへ来た限り，矢橋の渡しの唯一の史跡，矢橋港跡・常夜燈を見ないで帰るわけにはいきま
せん。
島を離れて，帰帆島の前の集落の爺さんに所在地を訪ねました。
親切にも，住宅地の一角にあることを案内していただきました。
その途中に，安藤 広重の描いた「矢橋の帰帆」をカラ－で刷り込んだ案内板が立っています。
近江八景の一つ，「矢橋帰帆」 (歌川 広重 画) |
広重は，冒頭の「矢橋帰帆」とは別の情景の浮世絵「矢橋帰帆」を描いていたようです。
その説明に，「港湾北側の石積台場上に常夜燈を立て，航行の便宜を図っている」とある。
実際に[常夜燈」を見学すると，石柱の壁面に”渡航安全”と彫られています。
きっと，当時の航行の安全に寄与したのでしょうネ。
矢橋の渡しは，この辺りだったのかも知れません |
この辺りが矢橋港だったのだろうと思いながら，矢橋帰帆島前の景色を目に刻み，来た道を引き
返しました。
 TOPページへ戻る
|
|
