徒然横浜生活 Since 2003

　　　1)日　　時； 2009.06.01(月)
　　　2)天　　候；快晴，25 ℃
　　　3)散策ル－ト；近鉄奈良駅前→東大寺南大門→東大寺大仏殿
　　　　　　　　　　　　　　→東大寺四月堂→東大寺三月堂(法華堂)→東大寺二月堂
　　　　　　　　　　　　　　→正倉院→東大寺戒壇院→(依水園)→(猿沢池)→
　　　　　　　　　　　　　　→元興寺→近鉄奈良駅→近鉄大久保駅

奈良公園MAP と今回の拝観地

　甥っ子の通勤の車で奈良の弟宅を8:30 a.m.頃出かけ，近鉄奈良駅前で降ろしてもらいました。

観光案内所で「奈良公園ウォ－クマップ」を入手し，駅前の喫茶店に入り今回の拝観ル－トの決定と拝観地の

確認です。

　昨日訪れた興福寺を横目に「春日大社」方面に歩を進めます。

公園内では，野生の鹿の群れが木漏れ日を受けて寝そべったり野草をゆっくりと食べていて，いかにも平和な

光景でした。

車道をはさんだ向う側には，近代的な建築の「奈良県庁」の建物がありますが，何故か周りの風景と調和して

いて違和感がありませんでした。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

興福寺北参道入口

公園の鹿の群れ

奈良県庁

　東大寺南大門(国宝)

・建立： 762 年(天平宝字6 年)頃
・鎌倉再建： 1,199 年(正治元年)
・構造・規模：木造，東西5間
　　　　　　　　　　南北3間
　　　　　　　　　重層入母屋造
　　　　　　　　　　本瓦葺き

　　金剛力士像(国宝)

・作者：運慶，快慶，湛慶他
・構造：木造
　　(左側)阿形(あぎょう)像：口を開いた像
　　(右側)吽形(うんぎょう)像：口を閉じた像

　最初の拝観地，東大寺へ向かうと前方に大きな南大門(山門)が見えます。

東大寺大伽藍の正面に建つ正門で，天竺様式の数少ない建造物の一つだ

そうです。

　南大門の左右には，国宝・金剛力士像が安置されています。

鳩よけの網で囲まれています。

あの有名な仏師・運慶の指揮の下で造られたとのことです。

東大寺南大門です

剛健で筋肉の躍動感にあふれた作品ですネ。


金剛力士像(阿形像)	金剛力士像(吽形像)

　南大門をくぐって参道を進むと右手に鏡池，真正面に大仏殿が見えます。

　　　　東大寺について

・山号：なし
・宗派：華厳宗
・寺格：大本山
・本尊：盧舎那仏(国宝)
　　　　　釈迦如来の別名です
・創建年： 8 世紀前半
・開基：聖武天皇
・開山：良弁(ろうべん)僧正
・札所等：南都七大寺1番(大仏殿)
・文化財：金堂(大仏殿)，南大門，
　　　　盧舎那仏他(国宝)
　　　　中門，石造獅子他(重要文化財)

鏡池から眺めた大仏殿

　正面に江戸時代に建てられたと云う入母屋造の中門があり，両脇の持国天像(左側)と多聞(兜跋(とばつ)毘沙門)

天像で守られています。

中門(手前)と大仏殿

東大寺のガイド板

中門の持国天像

中門の多聞天像

　入口で500円の拝観料を支払い回廊を進むと左手に大仏殿が佇んでいます。

　さすがに，木造建造物として世界最大規模を誇るだけあってデッカイですネ。

現在の大仏殿は江戸時代に再建されたもので，創建時の三分の二の規模まで小さくなっているとのこと。

それでも，間口(桁行) 57.01 m，奥行(梁行) 52 m，高さ 47mの巨大建造物です。

様々の角度から眺めた大仏殿(金堂)

鏡池と大仏殿

　内部に入ると盧舎那仏，つまり大仏様が鎮座しています。

　東大寺大仏(盧舎那仏)について

・大仏造立の経緯：
　743 年(天平15 年)
　　聖武天皇が大仏造立の詔を発す。
　747 年(天平19 年)
　　大仏鋳造の開始。
　749 年(天平勝宝元年)
　　大仏の鋳造終了。
　752 年(天平勝宝4 年)
　　大仏開眼供養会(魂入れの儀式)
・大仏の材質：金銅
・現在の大仏の大きさ：
　　顔の幅：　3.2 m
　　座　高：　15 m
　　銅座の高さ： 3 m
　

その左右には，脇侍として如意輪(にょいりん)観音坐像と虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)坐像

が安置されています。

盧舎那仏坐像

　当時，これだけの大きな金銅仏をどのように鋳造したんでしょうか？　不思議でなりません。

銅(Cu)の融点は，1，084.4 ℃と高いです。

あれだけの銅を溶かすには，連続した火力が必要ですし，又銅鉱石があったとしてもどのように精錬したので

しょうか？

中国から渡来した職人が指導したんでしょうが，そんな技術がすでに確立されていたとは驚きですネ。

斜めから見た大仏様

虚空蔵菩薩坐像

広目天像

多聞天像

如意輪観音坐像

　大仏殿とお別れし，新緑に囲まれた石畳の参道を進むと高台にある三月堂に着きました。

　
　東大寺法華堂(三月堂)について

・創建： 740 年(天平12年)から天平19年
　　　　　　頃と考えられている
・本尊：不空羂索(ふくうけんさく)観音像
・堂の構成：
　・正堂(後方)；数少ない天平時代の
　　　　　　　　　　　　建物。
　・礼堂(前方)； 1,199 年(正治元年)に
　　　　　　　重源上人により新造されたもので
　　　　　　　ある。
・堂名の由来：
　　　　このお堂で法華会が行われので法華堂
　　　という名が付いているが，毎年陰暦
　　　三月に行われることから三月堂とも
　　　呼ばれる。

・収蔵宝物(仏像)：
　　◎不空羂索観音像(国宝)
　　◎梵天像(国宝)
　　◎帝釈天像(国宝)
　　◎金剛力士像(吽形)(国宝)
　　◎金剛力士像(阿形)(国宝)
　　◎持国天像(四天王)(国宝)
　　◎増長天像(四天王)(国宝)
　　◎広目天像(四天王)(国宝)
　　◎多聞天像(四天王)(国宝)
　　●執金剛神像(秘仏)(国宝)
　　●(伝)日光菩薩像(国宝)
　　●(伝)月光菩薩像(国宝)
　　●吉祥天像(重要文化財)
　　●弁財天像(重要文化財)
　　○地蔵菩薩像(重要文化財)
　　○不動明王像(重要文化財)
　(注)　◎乾漆造，●塑造，○木造

　(出典)東大寺三月堂法華堂ガイド

三月堂は，東大寺法華堂の別称であり，東大寺最古の建物

だそうだ。

東大寺三月堂の正堂(国宝)の正面

　拝観料を支払って堂内に入ると，あるわあるわ。

不空羂索観音像を中心に国宝，重要文化財の全16 体の仏像

が整然と並んでいます。

　写真撮影禁止だったので，仏像名と写真を一対一で載せ

られなかったのが残念です。

この石畳の参道を上が
ると高台に二・三・四月
堂です

三月堂(法華堂)の
ガイド板

三月堂の礼堂

四月堂(三昧堂)

三月堂の斜め対面に四月堂(三昧(ざんまい)堂)があります。

毎年四月に法華三昧が行われることから三昧堂，あるいは四月堂と呼ばれる

そうです。

周辺の諸寺・諸堂と比べ，こじんまりしたお堂でした。

創建は1，021 年(治安元年)，鎌倉時代に再建。本尊は木造千手観音立像。

　三月堂の左隣に二月堂があります。　ここは，拝観料無しです。

不況の折からとても助かりますワ。

　勾配のある石段を上がって二月堂の回廊へ。　修学旅行生で一杯でした。

ここからは，奈良公園の寺社や奈良市内が一望でき，すばらしい眺めでした。
　

二月堂全景です

　この二月堂，「お水取り」の行事で知られています。

　　東大寺二月堂(国宝)

・創建：　8世紀前半
　現在の建物は，お水取りの最中の
　失火で焼失し，2年後の1,669年
　に再建されたもの。

・本尊：　十一面観音像(秘仏)
・堂名の由来：
　毎年，陰暦の2 月に修二会の法会
　が行われたことによる。

小生は，TV でしか見たことがありませんが，回廊上で真赤に燃えさかる

松明を引きずり回し，火の粉が飛び散るあのダイナミックな光景が思い

浮かびます。

　「お水取り」は修二会(しゅにえ)と云われ，陰暦の二月に修する法会という意味を

こめてこの名が生まれたとのことです。

毎年3 月1 日から14 日にかけて，本尊の十一面観音に自らの過ちを懺悔して，天下太平，万民豊楽を祈る荘厳な

法要です。

　この行中の3 月12 日深夜には，「お水取り」といって，若狭井(わかさい)という井戸から観音様にお供えする「お香水(おこうずい)」を

汲み上げる儀式が行われます。

また，この行を勤める練行衆の道明かりとして，夜毎，大きな松明(たいまつ)に火がともされ，参集した人々をわかせます。　

このため，修二会は「お水取り」・「お松明」と呼ばれるようになったとのことです。

　

二月堂正面

二月堂の回廊

二月堂の裏側

二月堂の回廊からの眺め

　ここから下り坂の公園を下って正倉院に向かいました。

　正倉院(国宝)について

・建立時期：不明
　光明皇后が夫・聖武天皇の遺愛
　の品を大仏に奉献した756年(天
　平宝字3 年)前後が通説。
・建築様式：高床式，校倉造り
　屋根は寄棟造，瓦葺き。
・代表的な宝物：
　・鳥毛立女屏風（とりげりつじ
　　ょのびょうぶ）
　・螺鈿紫檀五絃琵琶（らでんし
　　たんのごげんびわ）
　・東大寺献物帳　他多数
　
・管理：宮内庁

この正倉院，かって高校時代に日本史の教科書で，当時の美術工芸品などの

宝物が収蔵・保管されているということを習ったことを思い出します。

高床式の校倉造りの建物を一見して，あれが正倉院だとわかりました。

正倉院です

　東大寺・戒壇院について

・建立時期： 755 年(天平勝宝7 年)
　　現在の建物は1,732 年(享保17 年)
　　の再建である。
・建築様式：
・代表的な宝物：
　・多宝塔（木造)
　●持国天像（塑造)(四天王)奈良時代
　●増長天像（塑造)(四天王)奈良時代
　●広目天像（塑造)(四天王)奈良時代
　●多聞天像（塑造)(四天王)奈良時代
　(注)●国宝
　(出典)東大寺戒壇院パンフレット

　境内は公開されていないので外からの見物となりました。

倉庫のような建物を見るだけでは，無味乾燥です。

そんなこともあり，観光客はちらほらでした。

　次の訪問地は，東大寺・戒壇院です。

　公園内にいる鹿の群れを横目に見ながら東大寺大仏殿の塀に

沿った道を進むと戒壇院に着きました。

午後の奈良公園

東大寺大仏殿の塀

　戒壇院は，出家者が受戒(僧侶として守るべき事を確かに履行する旨を仏前に誓う厳粛な儀式)するための施設

として，天平勝宝7 年(755 年)に鑑真和上を招いて創建されたそうです。

東大寺・戒壇院です

　堂内には国宝・四天王(塑造)及び多宝塔(木造)が安置されています。

邪鬼を踏みしめて立つ四天王は，仏教の守護神であるからどれも武装していますネ。


持国天	増長天	廣目天	多聞天
堂内写真撮影禁止のため，写真は東大寺戒壇院パンフレットから引用

　境内に敷きつめられた砂の庭が，独特な趣をかもし出していました。

石がないから石庭とは異なるのでしょうネ。

戒壇院境内の砂の庭

　いよいよ本日最後の拝観寺である世界遺産登録・元興寺へ。

途中に名勝・依水園があり，昨日訪れた興福寺の境内を通り抜けます。　

今日も興福寺の五重塔が，絵に描いたように青空の中にそびえています。

猿沢池ではご覧のように亀さんが昼寝中です。

名勝・依水園

興福寺・五重塔

猿沢池の亀さん

　世界遺産・元興寺(がんごうじ)について

・宗派：真言律宗
・創建年： 593 年(推古天皇元年)
・開基：　蘇我馬子
・本尊：　智光曼荼羅
　　　　　　　　(重要文化財)
・札所等：　西国薬師49霊場5番
・文化財：
　　本堂、禅室、五重小塔（国宝）
　　東門、着色智光曼荼羅図ほか
　　（重要文化財）世界遺産

　かって元興寺の境内だったと云う古都の風情を伝える奈良町の通りを進むと，

右手の民家の間に元興寺がありました。

　元興寺は，蘇我馬子が飛鳥に建立した，日本最古の本格的仏教寺院である

法興寺がその前身です。

平城京遷都に伴って飛鳥から新都に移転し，元興寺となった。

　ただし，飛鳥の法興寺も廃止されずに元の場所に残り，今日の飛鳥寺となって

いる。

　奈良時代には近隣の東大寺，興福寺と並ぶ大寺院であったが，平安時代後期になると官寺の支えであった中央

政府の権力の衰退，荘園，寺領からの収入が困難になり，天台，

真言系の新寺院の興隆，貴族と特別な関係を持つ寺院の強大化などにより，次第に衰退の道を辿ることになる。

　かって，広大な寺域には，金堂・講堂・五重塔・僧坊などが立ち並んでいたが，現在では僧坊の一角が唯一現存して

いるのみである。

　極楽坊はかっての元興寺の僧坊の一部で，鎌倉時代に極楽堂（国宝）と禅堂（国宝）に改築された。
　

　中世以来庶民の信仰を集め，境内から無数の石仏と民族資料が発見され，境内の収蔵庫に保存・展示されて

います。