徒然草津生活 Since 2010

　　　　　　1)拝観日； 2010.06.11(金)
　　　　　　2)所在地；京都府宇治市兎道滋賀谷21
　　　　　　　　　　　　　　　　(京阪電鉄宇治線　三室戸駅より徒歩15 分)

　　　　　　3)天　候；快晴，気温，30 ℃

　　　　　　　　　　　　　　　　　明星山(みょうじょうざん)　三室戸(みむろと)寺について

・山号；　明星山(みょうじょうざん)
・正式名；　三室戸寺
・宗派；　本山修験宗別格本山
・本尊；　千手観音(秘仏)
・創建年； (伝)770～781年(宝亀年間)
・開基； (伝)光仁天皇(勅願)
・開山; (伝)行表
・札所等；西国三十三箇所10 番
・文化財；木造阿弥陀如来及び両脇
　　　　　侍坐像、
　　　　　木造釈迦如来立像、
　　　　　木造毘沙門天立像(重文)

歴　史

　寺伝によれば、宝亀元年（770 年）光仁天皇の勅願により
南都大安寺の僧行表が創建したものという。

　伝承によると，天智天皇の孫にあたる白壁王（後の光仁
天皇）は、毎夜宮中に達する金色の霊光の正体を知りたいと
願い、右少弁（右少史とも）藤原犬養なる者に命じて、その
光の元を尋ねさせた。
　犬養がその光を求めて宇治川の支流志津川の上流へたどり
着くと、滝壺に身の丈二丈ばかりの千手観音像を見た。
　犬養が滝壺へ飛び込むと1枚の蓮弁（ハスの花びら）が流れて
きて、それが一尺二寸の二臂の観音像に変じたという。

　光仁天皇がその観音像を安置し、行表を開山として創建したのが当寺の起こりで、当初は御室戸寺と
称したという。
その後、桓武天皇が二丈の観音像を造立、その胎内に先の一尺二寸の観音像を納めたという。

　その後寛正年間（1460 - 1466 年）の火災で伽藍を失い、再興されたものの、天正元年（1573年)
には織田信長と争った足利義昭に加勢したため焼き討ちされる。

現存する本堂は江戸時代後期の文化11 年（1814 年)に再建された。

伽　藍

　　現在の境内の伽藍は，本堂，阿弥陀堂，三重塔，鐘楼，十八神社からなる。
　境内には5,000 坪の庭園があります。

　　　　参考； ①Wikipedia；　「三室戸寺」
　　　　　　　　 ②パンフレット；西国十番　三室戸寺
　　　　

③三室戸寺HP；　http://www.mimurotoji.com/
　　　　

　Diary / No．269－2010.06.11 / 「宇治・三室戸寺の紫陽花」
　　　　

　京阪・三室戸駅から汗をかきながら15 分ほど歩くと三室戸寺に着きました。
途中の所々に石柱の案内標識がありましたので迷うことはなかったです。

　お寺の拝観受付の手前に，「三室戸ち」と刻まれた大きな石碑があります。
　

「三室戸ち」の石碑

　受付で拝観料の500 円を払って参道を進むと，前方に朱色の「山門」があります。
周りの新緑の中でひときわ映えていました。

三室戸寺の山門で～す

　参道の両側には，宇治の秋の恒例行事「宇治灯り絵巻」に使われている約100 基の源氏物語絵巻行燈(あんどん)が
設けられ，風流な雰囲気を醸し出していました。
夜に訪れると，きっと幻想的でしょうネ。

　この山門をくぐると，参道右下側の杉の木立の中の広い庭園には，紫陽花(アジサイ)の花の紫絵巻
が広がっていました。
なるほど，これが「アジサイ寺」と言われる所以かと思いました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックして大画面でご覧下さい

広大な紫陽花(アジサイ)の庭園で～す

　山門を通り約100 mほど進むと，本堂へ上がる急勾配の石段があります。
石段横には，「みむろどう」と彫られた灯籠(とうろう)や「ようおまいり」と彫られた石柱が参拝客を迎えてくれます。

　この石段を上ると，すぐ左手に手水屋舎と納経所，その前には芭蕉句碑が立っています。

手水舎

芭蕉の句碑

　この句碑は，松尾芭蕉の一句「山吹や宇治の焙炉(ほいろ)の匂ふとき」が彫られていました。
そうなんだ，昔から宇治はお茶の産地だったんだ。　
焙炉(ほいろ)から，香ばしいお茶の匂いが漂ってきそうですネ。

　正面には重厚な重層入母屋造りの本堂がどっしりと佇んでいます。
その前には，蓮(ハス)を植えた大きな鉢が多数並んでいました。

三室戸寺本堂とその前の蓮(ハス)の鉢

　紫陽花(アジサイ)のシ－ズンが過ぎると，この蓮(ハス)の花がこの花の寺の主役を務めるのでしょう。

本堂前庭の蓮(ハス)

本堂に掛かる「明星山」と彫られた扁額

本堂正面に掛けられた
奉納仏画

本堂で参拝する人々

本堂前に置かれた
「宝勝牛」と云う名の
牛の石像

　本堂の左手(西側)に建てられている「宝蔵庫」には，寺宝である「木造釈迦如来立像」，「木造毘沙門
天立像」，「木造阿弥陀如来及び両脇侍坐像」等が所蔵されているとのこと。
決められた拝観日でしか拝観出来ないようです。

三室戸寺・宝蔵庫

　この宝蔵庫の裏の高台に十八神社があります。
神社の境内に神社とは，奇異に思いました。

　寺伝や社伝を総合するとその由緒は以下のようです。
もともと，三室の地の鎮守の社として御室(三室)神社があり，当地の人々の信仰の対象であった。
承和7 年(840 年)，三井寺(園城寺)の智証大師(円珍)が三室戸寺を中興するにあたり，本山の鎮守神
として山王信仰にまつわる十五神を合祀し，十八神社と改称した。

鳥　居

境内の社殿群

本殿(文明14年(1,482年)
建築の三間社流造・重文)

三室戸寺の境内に鎮座する十八神社

　本堂の隣りの右手(東側)には，阿弥陀堂があります。
ここは日野有範郷の墓があった場所で、親鸞聖人の娘覚信尼が墓の上に阿弥陀堂を建て阿弥陀三尊を安置
し祖父の菩提を弔ったと云われています。

阿弥陀堂です

(注)阿弥陀堂について；　仏堂の一つである。
　仏教寺院において仏像を安置し、礼拝供養するための建物は仏堂（ぶつどう）と云う。
　仏堂は1 つの寺院内に多数建立される場合も多く、その性格、寺院内での位置、安置する仏像の名称など
　によって、「金堂」（こんどう）、「本堂」、｢釈迦堂」、「薬師堂」，「阿弥陀堂」、「観音堂」、「地蔵堂」などさまざま
　な名称で呼ばれる。　

　
　阿弥陀堂の東側には鐘楼です。
この鐘楼の鐘は，参拝者が自由に撞くことが出来ます。

鐘　楼

鐘楼の鐘

　この鐘楼脇に「浮舟古跡」と刻まれた古碑があります。
もとは，浮船古跡社と呼ばれる社であったが，江戸時代に石碑に改められたとのことです。

浮舟の古跡

　紫式部「源氏物語」54 帖の最後の10 帖は，主に宇治を舞台にしたもので「宇治十帖」として知られている。
この「宇治十帖」にちなみ古来より「宇治十帖の古跡」が設けられ，多くの人々がゆかりの地の一つとして
ここ「浮舟古跡」を巡るようになった。

三室戸寺の三重塔

　この鐘楼の東側の少し離れた所
に朱塗りの「三重塔」が建ってい
ます。
この「三重塔」は元禄17年
（1,704 年)建立で全高16m。
もとは，明治43 年(1,910年)に
兵庫県佐用郡三日月村(現・佐用
町)の高蔵寺にあったものを、
明治43 年(1,910 年)に当寺が
買い取って移築したものである。