浄瑠璃寺の概要は以下のようなものです。
小田原山 浄瑠璃寺
・山号； 小田原山
・宗派； 真言律宗
・本尊； 九体阿弥陀如来像(国宝)
薬師如来像(重文)
・創建年； 永承2年(1047年)
・開基； 義明上人
・文化財； 本堂, 三重塔,
九体阿弥陀如来坐像,
木造四天王立像 (以上,国宝)
木造吉祥天立像,木造薬師如来坐像
木造不動明王・二童子像,
木造地蔵菩薩立像 他 (以上,重文)
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浄瑠璃寺の起源は, Diaryでも記した
通り、当寺に伝来する『浄瑠璃寺流記事』
（じょうるりじるきのこと）という記録が
唯一のよりどころである。
それによると, 1047年（永承2年）、
当麻（たいま、現・奈良県葛城市）の僧・
義明上人を開基（創立者）とし,薬師
如来を本尊として創建されたものである
という。
寺名は薬師仏の浄土である浄瑠璃世界
からつけられた。
その60年後の嘉承2年(1107年)に阿弥陀如来を本尊とする本堂が建立された。
中世から近世にかけて浄瑠璃寺は興福寺の末寺であったが, 明治初期, 真言律宗に
転じ、奈良・西大寺の末寺となった。
<参考資料>① Wikipedia；「浄瑠璃寺」
② パンフレット；「真言律宗 浄瑠璃寺」
現在の伽藍配置は以下の通りです。
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山門をくぐると, 緑の樹々に囲まれたこじんまりとした浄土式庭園のある境内に。
上の伽藍配置の通り, 東に薬師如来を祀る朱色の三重塔(国宝)が西面して建っています。
宝地を挟んで, 西に九体の阿弥陀如来像を安置する本堂・阿弥陀堂(国宝)が東面して
建つ。
太陽は三重塔のある東から昇り, 宝地を渡って阿弥陀堂のある西に沈む。
薬師如来は東方浄瑠璃世界に住み, 現世の苦しみを除く仏であり,阿弥陀如来は西方極楽
浄土の教主である。
そういう意味で,薬師如来を東, 阿弥陀如来を西に安置したのであろう。
従って, 三重塔のある東岸は「此岸」（しがん、現世）、池をはさんだ西岸は阿弥陀如来のいる
「彼岸」であるという見かたである。
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本 堂 (国宝)
・ 1107年（嘉承2年）の建立。
・9体の阿弥陀像を横一列に安置するため、横に
細長い堂である。
・1体づつ柱間に置かれていて, 各々その前に
1つの扉が付けられている。
・平安後期に建てられた九体阿弥陀堂は、現存
するものはこの浄瑠璃寺本堂のみである。
・寄棟造, 瓦葺, 正面11間(約25.3m),側面4間
(約9.1m)。
・1666年(寛文6年)に桧皮葺から瓦葺に吹替え,
1900年(明治33年)に解体修理されている。 |
三重塔(国宝)
・『浄瑠璃寺流記事』によると1178年(治承2年),
京都の一条大宮から移建したされるが,不明確。
・桧皮葺, 各層3間, 高さ約16m。
・本尊;薬師如来坐像(秘仏, 重文)
・初層内部には柱がないことで、心柱は初層の天井
から立てられている。
・初層の周囲の壁には, 平安時代後期作の十六羅漢
像(重文)などの壁画が描かれている。
・2010年(平成22年),修復。
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宝地(阿字池)
・境内の中心にある池。
・1150年(久安6年), 興福寺一乗院の僧・惠心が
作庭。
この時以来, 浄瑠璃寺は一乗院の祈願所となり,
興福寺との深い関係が続く。
・中央には小島があり、弁才天を祀る祠がある。
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鐘 楼
・1136年(保延2年), 梵鐘が鋳造される |
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本堂に入り仏像を拝観。
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↑ 九体阿弥陀如来坐像(国宝)
・木造(檜材)寄木造, 漆箔, 平安時代
・像高; (中尊)周丈六, 221.0cm
(脇仏)半丈六, 138.0～143.3cm
・本堂の長い須弥壇上に並ぶ9体の阿弥陀如来
坐像。
・中尊は右手は施無畏印,左手は来迎印を結ぶ。
左右8体の脇侍仏は定印を結ぶ。
← 阿弥陀如来坐像(九体のうち中尊)
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浄土信仰では，来世を阿弥陀浄土に往生することを勧める。
往生には，この世の善根の多少により, 上品上生から下品下生まで9種のランクがある。
この「九本往生思想」に基づき, その全てに対応するために九体阿弥陀如来像を作ることが行われた。
この像は, その唯一の遺例として貴重なものである。
秋の秘仏特別開扉により吉祥天女立像(重文)も拝観できました。
吉祥天立像(重文)
・木造彩色, 像高約90cm, 鎌倉時代
・唐風の装束で,宝冠, 衣, 装身具に繧繝彩色
（うんげんさいしき）文様がある。
[注]繧繝彩色; 同じ色を濃から淡へ、淡から濃へと層をなす
ように繰り返す彩色法。奈良・平安時代の仏画、寺院の装飾
や染織などに用いられた。
・左手に宝珠が乗り，右手は与願印を結んで
いる。
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持国天像 |
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増長天像 |
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四天王立像(国宝)
・木造彩色，像高;(持国天)169.5cm, (増長天)169.0cm, 平安時代
・鎧を着け，武器を執る憤怒像。
・衣は装飾性豊かで，極彩色による花や獅子などの文様が美しい。
・四天王のうち広目天は東京国立博物館に，多聞天は京都国立博物館に
寄託されている。
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薬師如来坐像（秘仏，重文）
・木造(檜材)一本造彩色，像高 86.4cm,
平安時代
・三重塔に安置されている東の本尊。
・左手に薬壺を持ち，右手は施無畏印を結ぶ。
・建立当初(1047年，永承2年)の本尊とみら
れる。
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不動明王・二童子像(重文)
・木造(檜材)寄木造, 彩色，像高 99.5cm,
鎌倉時代
・右脇侍におとなしい表情の制多迦童子(せい
たかどうじ)，左脇侍にやんちゃな表情の
矜羯羅童子(こんがらどうじ)を従えて
いる。
・三尊の玉眼が鋭い。
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地蔵菩薩立像(重文)
・木造彩色，像高 157cm, 平安時代
・九体阿弥陀如来坐像の中尊の向かって
右に安置されている。
・左手に如意宝珠を持ち，右手は与願の印を
結んでいる。
・顔は丸く，ふっくらとしている。
・安産の守り本尊 |
［注］仏像の写真は，「南山城の古寺」（㈱飛鳥園）より転載。
フォト;2013年10月27日
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