シャトルバスで百済寺の山門に通じる参道前に到着。
周りは樹木で鬱蒼とした森で囲まれていたが，それでも参道入り口辺りはモミジで紅葉していました。
百済の読みは，歴史の教科書で「くだら」と学びましたが，ここでは「ひゃくさい」と読みます。
BC18年に高句麗から分離独立し，7 世紀まで朝鮮半島に在った国家，百済と関係があったようです。
当時から百済とは交流があり，近江のこの一帯には、日本海・若狭を経由して主に百済からの渡来人が
住んでいて,先進文化と先端技術(灌漑・農耕・土木・建築など)を伝えていた。
その中心的な依智(エチ)秦公が，一族の氏寺として建立したとされる。
百済寺の概要は以下のようなものです。
釈迦山 百済寺について
・山号； 釈迦山
・正式名； 天台宗 湖東三山
釈迦山 百済寺
・宗派； 天台宗
・本尊； 十一面観音
・創建年； (伝)606年(推古天皇14年)
・開基； (伝)聖徳太子
・札所等； 湖東三山
・文化財； ・本堂
絹本着色日吉山王曼荼羅図他3件
（以上，重文）
・百済寺境内（史跡）
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寺伝によれば，推古天皇14年(606年)，聖徳太子の
建立という。
聖徳太子は当時来朝していた高麗(高句麗)の僧・慧慈
(えじ)とともにこの地に至った時，山中に不思議な光を
見た。 その光の元を訪ねて行くと，それは霊木の杉で
あった。 太子はその杉を，根が付いた立ち木のまま刻
んで十一面観音の像を作り，像を囲むように堂を建てた。
これが百済寺の始まりであるといい，百済の龍雲寺に
ならって寺を建てたので百済寺と号したという。
百済寺の史料上の初見は11世紀の寛治3年(1089年)
であり，聖徳太子創建との伝承がどこまで史実を反映
したものかは不明であるが，百済寺という寺号から見て，この寺は渡来系氏族の氏寺として開創
された可能性が高い。
平安時代には，近江国の多くの寺院と同様，比叡山延暦寺の勢力下に入り，天台宗の寺院に
なっている。
平安時代から中世にかけて，かなりの規模を持った寺院だったようだが，明応7年(1,498年)の
火災で全焼し，その数年後の文亀3年(1,503年)の兵火でも焼け，この2回の火災で創建以来の
建物ばかりでなく，仏像，寺宝，記録類なども大方焼けてしまった。
さらに，天正元年(1,573年)には織田信長の焼き討ちに遭い，またも全焼している。
当時，この地に勢力を持っていた佐々木氏の一族六角氏は，観音寺城の支城である鯰江城(なまず
えじょう)を百済寺の近くに築いていた。
信長は自分と敵対していた佐々木氏に味方するものとして，百済寺を焼き討ちにした。
本堂をはじめ現在の建物は近世以降の再興である。
－－以上，Wikipedia から抜粋。－－
山門(赤門)を入り参道を進むと途中左側に本坊の喜見院があり，そこから石段を上ったところ
に仁王門，さらに上ったところに本堂が建つ。
参道両側には石垣を築いた僧坊跡があり，かっては多くの建物が軒を連ねていたと云う。
境内は国の史跡に指定されている。
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百済寺の伽藍配置
＜百済寺境内の案内板より＞
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参考； ①Wikipedia 「百済寺」
②パンフレット；「釈迦山 百済寺」
 百済寺ホ－ムペ－ジ；http://www.hyakusaiji.or.jp/
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山門までの石畳の階段は，モミジの枯葉の絨毯(じゅうたん)でした。
山 門
(赤 門) |
朱塗りのために通称赤門と呼ばれている。
本堂と同じ慶安3年(1,650年)の建立。 |
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山門をくぐって 50m 程進むと，谷川に朱色の橋，極楽橋がかかっています。
橋の手前を「此岸」、橋を渡りきると「彼岸」という形で造られているとのことです。
仏教では，煩悩や迷いに満ちたこの世をこちら側の岸「此岸(しがん)」と言うのに対して，「彼岸(ひがん)」
は煩悩を脱した悟りの世界を指します。
これからしばらく,「彼岸」(彼方の岸)の世界を覗いてみることにします。
なだらかな上りの表参道の両側には杉の老木が林立し，昔の子院跡の名残を残す苔むした石垣が続き、
歴史の深さを感じます。
表参道を上がると左手に表門があり，この門の外に本坊・喜見院(きけんいん)があります。
| 喜 見 院 |
百済寺の本坊。
かっては，仁王門の右方にあったが，現在の
建物は昭和15年(1,940年)に現在地に移転
している。
喜見院書院は，庭に面して建つ大型の入母屋
造りの書院。 |
喜見院書院 |
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本坊庭園
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通称，「天下遠望の名園」。
本坊喜見院(きけんいん)の表門内側の書院
に面した壮大な池泉回遊・観賞式庭園である。
喜見院の移転・改築に伴い，庭園も旧本坊の
ものを拡張・改造された。
庭園頂部の遠望台前面に比叡山や湖西の
山々を，背面には鈴鹿山脈を借景に取り込ん
でいる。
大きな池と旧庭園の石と山内の谷川から運ん
だ巨石を組み合わせて築庭されている。
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遠望台から見下ろした
庭園 |
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なれます。 |
この庭園の真っ赤に染まった「血染めの紅葉」も他の二山にも劣らず素晴らしかったです。
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| ひときわ赤い「血染めの紅葉」に集まった参拝客 |
この庭園には遠望台があり，別名「天下遠望の庭園」とも云われています。
西方の借景は，琵琶湖をかすめて55Km 先の比叡山で，更に西方，880Km 先には，往時の
「百済国」があります。
渡来人達は，母国を偲ぶ気持でこの遠望台に立ったのでしょう。
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| 遠望台から眺めた望郷の景色 |
画像をクリックすると大画面でご覧になれます
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| 天下遠望之図 |
望郷の景色 |
天下遠望の名園の解説
(喜見望郷庭) |
ここからなだら坂(脇参道)を上ると仁王門です。
仁 王 門
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長い参道の正面に建ち，一対の金剛力士像が
向き合っている。
門の正面には，大きな草蛙がぶら下がっている。
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門の正面に吊り下げられた一対の大草鞋(わらじ)に触れると，健康，無病長寿のご利益が
あると言い伝えられています。
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| 大草鞋(わらじ) |
仁王と草鞋の説明 |
仁王さん |
仁王門から本堂
方面を眺める |
仁王門をくぐって更に石の階段を上がると，やっとのことで本堂です。
長い長い参道でした。
本 堂
(重 文) |
入母屋造，檜皮(ひわだ)葺き。
江戸時代初期，慶安3年(1,650年)の再興。
中世以来の密教仏堂の形式を残しつつ細部
には近世的特質の現れた建築で，2,004年に
重要文化財に指定されている。
内部の外陣と内陣とに引違格子戸を用い，
内陣の厨子には，秘仏・本尊の2.6mもある
巨像の十一面観音立像(平安時代)を安置し
ている。 |
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本堂の内陣の厨子には，脇侍の毘沙門天と不動明王に守られて秘仏本尊・十一面観音立像が
安置されています。
勿論，秘仏のため見られませんが，代わりに前立ち(注1)の「十一面観音立像」を拝観しました。
(注1)前立ち(まえだち)；厨子などの中の本尊の前に安置される仏像。
本堂の左手には，鐘楼です。
これで，百済寺の全体の拝観を終了。
帰りのシャトルバスに間に合うように再び全速力で下山しました。
とにかく，これを見逃すと1 時間も待たねばならなかったからです。
今日は「血染めの紅葉」を見るのに絶好のタイミングでした。
これでもかと云うくらい紅葉を堪能しましたです。
昼飯抜きのぶっとうしの拝観でしたので,さすがにお腹がすきました。
草津の居酒屋で一杯飲みながらの夕食が楽しみです。
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