葛井寺の概要は以下のようなものです。
紫雲山 葛 井 寺
・山号；紫雲山(しうんざん)
・宗派；真言宗御室派
・本尊；十一面千手千眼観世音菩薩立像
・創建年；(伝)神亀2年(725年)
・開基；(伝)行基,聖武天皇(勅願)
・別称；藤井寺
・文化財；十一面千手千眼観世音菩薩
坐像(国宝)
四脚門(重文) |
寺伝によると, 葛井寺は神亀2年(725年),聖武天皇
の勅願で葛井連の邸宅地に建立され,春日仏師に命じて千手千眼観世音菩薩を造らせ,僧行基が開眼法要を行ったとされる。
しかし, 境内から奈良時代の7世紀中頃の古瓦が
出土することなどから,葛井氏の前身の白猪氏により
建てられた氏寺と推定される。
白猪氏は, 百済から渡来した王仁氏の子孫・辰孫王の後裔氏族である。
平安時代の大同元年(806年), 平城天皇の皇子・阿保親王が伽藍を修復し,次いで
親王子息の在原業平朝臣によって諸堂が造営された。
永長元年(1096年)には, 大和の藤井安基が荒廃した伽藍を修理したことから,藤井寺
ともいわれ, 地名として「藤井寺」が残ったといわれている。
その後,戦国時代の兵火による焼失や大地震により諸堂は荒廃するが,信者の協力により
修復され,現在に至っている。
<参考資料>① Wikipedia；「葛井寺」
② パンフレット；「聖武天皇勅願寺 紫雲山 葛井寺」
当寺の伽藍は,金堂,講堂,東西2つの三重塔を備えた薬師寺式伽藍配置であったが, 兵火や
地震で堂塔を失い,現存する建物は近世以降の再建である。
現在, 本堂,南大門,四脚門の他に阿弥陀二十五菩薩堂,大師堂,護摩堂が建つ。
|
近鉄南大阪線で「藤井寺」で下車し,商店街のア－ケ－ドを抜けると「葛井寺」の西門にあたる四脚門に
着きました。
今日18日は春季大法会式だからでしょうか,狭い石畳の参道の両脇には露店や屋台が出ていて賑やか
です。
四脚門です。
桃山時代, 慶長6年(1601年),豊臣秀頼により再興された。
切妻造,本瓦葺。 重文で葛井寺に現存する最古の建物。
四脚門をくぐり100m程進むと,左手に本堂です。
江戸時代,宝暦3年(1753年)上棟, 竣工は安永5年(1776年)。
本尊は,千手千眼観世音菩薩坐像。
本 堂 |
|
本堂の正面に楼門(南大門)。
境内に入る順序を間違えたので正門である南大門から出直しました。
寛政8年(1796年)の上棟, 寛政12年(1800年)頃に竣工。
入母屋造の楼門(2階建の門)です。
山号の「紫雲山」と書かれた扁額が見えます。
楼 門 (南大門) |
|
南大門の左右には仁王さんが仁王立ちしてお寺を守っています。
風雨にさらされ傷みが大きいですね。
画像をクリックすると大画面でご覧になれます
吽形像(向かって左側) |
|
阿形像(向かって右側) |
|
仁王さんの脚 |
|
南大門の境内側,ちょうど仁王さんの裏側にはこんな仏画が施されていました。
本堂の方へ向かうと右側に弘法大師堂, 左側に二十五護摩堂,本堂前の右手に鐘楼堂が立っています。
大師堂の近くにこんな松の木がありました。
「旗掛けの松」と言うそうです。
その由緒は下の写真の説明板の解説をご覧下さい。
藤井寺にあるこの葛井寺の境内には, この時期「藤(ふじ)」の花が満開でした。
この語呂合わせ, 昔からなんでしょうか。
いよいよ,秘仏・本尊の十一面千手千眼観世音菩薩坐像の拝観です。
本堂の内陣には秘仏を一目見ようと団体さんを含め参拝者で一杯です。
寺僧による定時の説明を聞きながら拝観しました。
十一面千手千眼観世音菩薩坐像(秘仏・国宝) |
8世紀半ばごろの作。 脱活乾漆像。
像高；130.2 cm (頂上仏面を含めた像高；144.2 cm)
胸前で合掌する2本の手を中心に1039本の大小の脇手が円形に展開しています。
脇手は持物を持つ大手38本, 小手1001本(右500本, 左501本)です。
造像当初は,全ての脇手に墨で眼が描かれていたと考えられている。
合掌手を除く大小の脇手は, 像の背後に立てた2本の支柱に打ちつけられていて本体とは分離して
いる。
正面から見ると像本体から千の手が生えているように見えますね!
保存状態も良く,すばらしい仏像でした。
少し見えにくかったのですが, 厨子の裏側は展示場になっていて,様々の展示品の他にモニタ－画面で
大きな観音さんの映像が説明付きで見られるようになっていて,理解するのに良かったです。
須弥壇の本尊厨子の右に聖観音菩薩立像, 左に地蔵菩薩立像が安置されています。
いずれも平安時代の一木造りの仏像です。
寺僧の説明では,やはり乾漆像の本尊よりは木造の方が傷みやすいとのことでした。
 |
・平安時代
・像高；153.4cm
・松の一木造
・左手に宝殊, 右手に錫杖をとる。
・頬のふくらみをはじめ,丸みのある
肉取りと帯状の衣襞に特徴がある。
[出典]パンフレット「葛井寺」
|
・平安時代
・像高；157.1cm
・欅(ケヤキ)の一木造
・左手に蓮華をとり, 腰を右に強く
ひねって立つ。
・重厚な作風のなかにも, 弓なりに
反った体躯, 身体の起伏にそって
大きくうねる着衣の表現などに
動勢が感じられ, 顔立ちは端正で
ある。
[出典]パンフレット「葛井寺」
|
 |
すばらしい秘仏を堪能し,その姿を脳裏に再現しながら葛井寺を辞し, 今回の観音さん巡りの最後の
拝観地, 道明寺へと向かいました。
フォト；2013 年 4月 18日
 TOPペ－ジへ戻る
|
|
